現在、大阪府を拠点とし、大工工事を行っている朝日建築工房の白尾浩さん。今回、白尾さんに仕事のこだわりを聞いてきました。
大工業のきっかけは父からだった
−−現在のお仕事内容を教えてください
主に建築の大工工事の職人ですね。私一人でやっているので手が空いた時は知り合いの大工さんに声かけていただいて、そのタイミングで仕事をしてますね。
−−大工工事を選んだきっかけはありますか?
私の父親が大工業だったのがきっかけですね。実は若い時はほとんどプー太郎みたいなもんでした(笑)
たまに父親の仕事を手伝っていたんやけど、父親は職人の仕事なんかするなって言ってましたね。
とりあえず工務店に勤めて、建売を売ってたりもして、15年くらいサラリーマンやってましたね。それで会社員をやっていたらできない事をしたく、工務店時代に自分でやろうと決めたんです。
−−おひとりで仕事を立ち上げられたのですか?
そうです。私一人でやり始めましたね。
昔は父親も独立して、会社立ち上げようとしたんやけど、ちょうどその時バブルの波でうまくいかなくて。
工務店時代に現場の経験をたくさん学んだんやけど、自分も若かったから建築現場全種類覚えたろと思って(笑)それを一生かけてやったろうと思ってました。
その経験があるから、今いろんな案件があっても対応できるんです。
苦い経験から心に決めたこと
−−独立しようと決めたきっかけを教えてください
工務店時代に、お客様から金額お任せで依頼があったんですよ。その時僕はリフォームの担当やったんですけど、予算取りの為、金額高めに設定し契約したんです。さほど仕事量がなくて、結果的に高くついてしまい、お客様の為に契約の減額を会社に交渉したんですね。
でも納得いかなくて。
会社もノルマがあるから仕方ないんですけど、こっちもお客様に高い金額を請求できなくてちょっとだけ値引きました。
見積もりの仕方自体がおかしかったんやけど、会社に所属してたら適正金額なんて無理やと思ったんです。
その後、ちょうどお客様とばったり街であったんですけど、気まずそうな顔が脳裏にこびりついて。そこから自分でやろうと決めましたね。
−−金額はポリシーでもあるんですね
そやねん。極力適正価格にしています。でも適正価格って本当に難しくて。
材料費は一定金額かかるので、お客様の満足できる仕事で見積もりを出すかが重要なんやけど、これが難しい。
新しい職人さん入れると、人件費の事も考えなきゃあかんから、当分僕一人で頑張らなきゃあかんし。仕入先や応援してくれた大工さんには迷惑かけないように、お支払いしてます。
でも昔の苦い体験があるから、自由に仕事できてお客様に納得するちゃんとした金額を提示できるのはいいですね。
−−ひとりでやっていて大変なことはありますか?
そうですね。お客様に適正な価格を提示するために一人でやっているので、どうしても制限がでてきてしまいますね。体は一つなので。
仕事がぎょうさんあってもいっぱい受けたりしないですね。あくまでも僕のペースで合わせてもうようにしてます。
わしはお客やぞ!みたいな人は一切相手にしない。でもお金はいるのでそこは大変でしたね(笑)
学びから得たこれから先のこと
−−お父様から学んだことはありますか?
父親からは小さい時「将来はクーラーきいたところで事務職してなさい」ってなんべんも言われてました。
職人はリスクが高く、いつ怪我をするかわからないからやめておけって事ですよね。僕が職人になったった時は、いろんなアドバイスもらいましたね。
経営をするということでもあるので、質素倹約して帰ったら道具を研ぐこと。そして早く寝て、早く起きる。この部分は身にしみましたね。
僕の実体験でぼったくってしまった経験があるので、自分の会社ではぼったくりをしないで適正な価格で提供しようと学びましたね。
−−白尾さんの強みはありますか?
特にないんですよね。正直な値段の提供、料金上乗せしないところが僕の強みです。
お客様へ正直に実際の相場を提供すると、回らなくなるんですよ。なかなか資金繰りは大変ですが、人に迷惑かけずに、そこそこ頑張ってますよ。
−−今後目指している将来像はありますか?
現状維持で安定した資金繰りを目指せればいいかなと思います。会社じゃなく個人なので。
利益は出さなくてもいいので、今後も良心的な金額で提供していくことですね。
さいごに
苦い経験があるから、現在の強い思いを変えずに取り組まれている白尾社長。2003年に立ち上げられ、今年で18年目を迎える白尾様には、たくさんの過去の思い出がありました。
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