世界遺産「ピサの斜塔」の工期は実は200年だった!?

世界的に有名な建築物「ピサの斜塔」は、イタリアのピサという場所にある大聖堂の鐘塔です。「ピサの斜塔」が地盤沈下によって傾いているということはご存知の方も多いでしょうが、実は完成までに200年もの工期がかかっていたのです。ここでは、「ピサの斜塔」がなぜ傾いたのか、なぜ200年の工期が必要だったのかについて紹介します。

傾きの原因はなんと地盤沈下!

ピサの斜塔はいつ傾き始めたの??

ピサの斜塔は高さが55メートル、8層からなる筒形の建築物です。着工は1173年ですから、約840年以上前にもなりますね。ちなみに日本の1170年代がどのような時代であったか、日本史を見ると後白河法皇の時代になっており、平清盛が後白河法皇を幽閉するなどがあったようです。やはりかなり古い時代という印象です。

ピサの斜塔は、当初100メートルまでの建築物になる計画となっていました。しかし、3層目まで工事が進んだ1185年から南側のほうへ傾くようになり、ここで一旦工事が中断されたのです。建物が傾き始めたのは着工から12年後のことでした。傾きの原因は「地盤沈下」とされ、工事を進めるべきがどうか長い間検討されることとなったのです。

ピサの斜塔の内部にあるのは294段のらせん階段

なぜ200年もの工期が必要だったのか?

工事が中断してから約100年後の1275年に、再び工事が再開されます。しかし、地盤沈下はなおも進行していくこととなり、この傾きのまま工事を進めるため「建物の中心をずらす」という方法を採用しました。
物全体のバランスを維持するために、内部は空洞という構造で294段のらせん階段があるだけとなりました。このように建設が進められついに完成したのは1370年ころとされていますので、約200年もの歳月がかかりやっと完成したのです。

なぜ、ここまでの長い工期が必要だったのか、まず一つは初期の段階での工事中断が要因となっているでしょう。傾き始め工事を中断してから再開まで100年も保留となってしまっていたのです。
また工事が再開してからも原因となる根本的な地盤対策には至らず、現状でのバランスを維持しながらの工事に変更されたため、通常のような工事の進行では無理があったということが考えられます。そのため、再開後も同じく100年近くの歳月が必要となってしまいました。


ピサの斜塔はこれからはどうなるの?

ピサの斜塔は、今現在も傾き続けていると言われています。2000年頃にも傾きの改善のために改修工事などの対策が取られてきましたが、地盤沈下が続いている限り、傾きが止まることはないでしょう。しかし、建築技術は日々進化していますので、将来的に外部から地盤沈下を解決できる画期的なものが出てくる可能性もあります。

しかし、「傾いている」からこそピサの斜塔は美しくもあり希少であるということにもなります。200年もの間、工事を進め後世の職人たちに受け継いできたものですから、これからも傾いたままで存在していくのでしょう。

現代であれば、建物を建築する際には事前に地盤調査をします。例えば住宅であれば、地盤調査の結果により、必要であれば必ず地盤補強工事をしなければなりません。これを怠れば、保証保険にも加入することができないためです。地盤の保証保険は意外と重要なものです。地盤でも建物の瑕疵でも、万が一の時には保証や保険が頼りになるのです。

ピサの斜塔は、ある意味地盤沈下があったことで世界遺産にも登録されるような希少な建築物になりましたが、現実での建物では、地盤対策は必ず万全にしていきたいですね。


参考:コトバンク(ピサの斜塔)https://kotobank.jp/

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