飲食店などのリニューアルやリフォームに伴う屋内の解体、木造の解体工事をメインに事業を展開。埼玉県川口市に本拠を置く、修工の熊崎友彦さんにお話を伺いました。
他社にできない解体工事を
−−おもな事業内容から教えてください。
ざっくり言えば解体業ですね。個人事業として、木造解体、内装解体、それから特殊破砕などの工事を手がけています。
−−スプリッター工事とはどういった工事ですか?
飲食チェーンの厨房の解体工事などをよく請けるのですが、都市部のビルテナントだと音を出せませんよね。そういう場所でよくスプリッターを使っています。
郊外の解体工事だと油圧ショベルでコンクリートをはつって、飲食店などの厨房だと通常3日で終わらせるんですよ。でもスプリッターって時間がかかるので、スプリッターの場合は4日間かけて解体しています。
−−熊崎さんのこれまでのご経歴を教えてください。
建設業に入ったのは25歳のときで、以来ずっと解体業です。最初に働いた解体工事会社の社長や先輩に「解体の仕事は無くならないから一生安泰だよ」と言われて、まあそうかなと。もともと機械が好きでユンボとかの運転も好きなので、馴染めたのでしょうね。
でも解体業も他社と違うことをやらないとなかなか厳しい。それで音やホコリを出さない工事をやろうと考えて、スプリッター工事などを始めたのはここ数年ですね。
−−スプリッター工事をできる職人さんは多いのですか?
自分がスプリッターの機械を買ったときには、関東で持っている人はまだいなかったんですよ。スプリッターってダイヤモンドコアドリルというので穴を開けて使うんだけど、専門の職人を頼むと予算的に合わなくなっちゃう。だからコアドリルも独学で覚えて、今ではなかなかのものですよ。
整理整頓や掃除は厳しく指導
−−独立されたのはいつごろですか。
解体業として独立したのは50歳のとき、2016年です。それ以前は一時期、「稼げるから」と誘われて仮設トイレの運び出しをやっていたんですよ。まあ一人でやれるし確かに月50万円くらい稼げたんですが、毎日夜10時まで働く生活だった。それでは続けていけないので、慣れた解体業に戻って独立したんです。
−−独立されて何かご苦労はありましたか。
工具一式揃えてダンプや重機を買ってという、最初の出費がたいへんでした。足りないものは借りるとしても、最低限の道具は揃えないと仕事になりませんからね。
あとはアルバイトに一から教えていくのでどうしても時間を取られるし、なかなか思ったようには稼げないなという思いはありました。
−−5年たって何か変わってきたことはありますか。
変化というほどのことはないですね。自分が年を取ったくらいで。
−−他にも職人さんがおられるのですか。
そうですね、最近1人雇ったのですがもう1人雇う予定なので自分合わせて3人になりますね。以前は自分だけでその他はアルバイトの人に手伝ってもらっていたんです。
でもみんなうちでの仕事を気に入ってくれているようで、普段は別の仕事をやっているみたいだけど仕事の予定を伝えるとまた戻ってくる。そういう関係性を構築していたね。
最初は教えるのもたいへんだったけど、1人が覚えればその子がみんなに教えてくれるからすごく助かっていたよ。
−−雇ううえで何か採用基準はあるのですか。
真面目に一生懸命やってくれればそれでいいんだけど、整理整頓や最後の掃除がきちんとできるかはチェックしますね。
私が彼らに必ず言っているのは、「がんばっていい仕事をしても、掃除や整理整頓が汚くて監督から注意されたら全部台無しだよ」ということです。もったいないよと。
−−仕事の上で大切にされているのはどんなことですか。
お客さん、つまり現場の監督さんとか担当者さんに満足していただくことは意識していますね。先ほどの掃除もそうだし、工事の音やホコリもそう。お客さんに満足してもられえば、営業なんかしなくてもまた仕事が来ますからね。
あるチェーン店さんの厨房の解体工事なんて、リフォームのたびに声かけてもらって同じ店でもう3回工事に入ったこともあります。
お客様満足の提供こそが仕事
−−お取引先はどういう業者さんが多いのですか。
リフォーム会社さんが1社。ここは長いお付き合いで、5、6人の監督さんから仕事を請けています。
もう1社、内装業者さんで飲食や宅配などのチェーン店の工事を手広くやっているところがあって、そのうち一都三県の仕事をうちが優先的にもらっています。あとは単発で木造解体の仕事が入ってくるくらいですね。
−−今後、どういうお取引先を求めていかれますか。
お得意さんの仕事が今コロナで止まっているのだけれども、これが復活したらもう忙しくてたぶん他には手をつけられないと思うんですよ。
だから、新しく取引先を広げるかどうかは迷ってる最中でね。とはいえ食っていかないといけないので、木造解体の見積りをいっぱい出したところです。
−−解体業を長く続けてこられたのはなぜでしょうか。
最初に勤めた工事会社の社長に騙されたからですね(笑)。そこは4時終業だったんですよ。バブルのころだから日当も良くて、昼夜掛け持ちしていちばん稼いだころは月100万円近かった。
もちろん今ではそうはいかないけれども、その流れで今日まで来ちゃった感じですね。
−−今後の展望や課題は何かございますか。
会社を大きくしたいとかそういう目標はなくて、このままずっと行ければいいという思いだけですね。ゴミの捨て方とかも時代の流れで変わってきているけれども、きちんと法令を守って続けていければいいなと。
−−修工さんのいちばんの魅力は何だと思われますか。
魅力ってあるのかな。まあ仕事は誠実にやりますし、コンクリート破砕みたいな作業を音やホコリを出さずにやれるということも魅力といえば魅力かもしれません。つまり先ほど言ったように、監督さんに満足してもらえる仕事をする、これに尽きますね。
さいごに
仕事の本質とは単に託された作業を提供することではなく、お客様の満足を得ること。熊崎さんのそうした信念は、解体業にとどまらずすべての仕事に通じる教訓かもしれません。
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