VRが建設業を変える!?VRによる2017年建設業界注目の取り組みまとめ

VR映像はヘッドマウントディスプレイを主に用います

 2017年も残り1ヶ月を切りましたが、建設業でも様々な新しいことが起きる1年となりました。例えば2016年に様々なデバイスが国内市場を席巻したVR(仮想現実)に関してもも、2017年は建設業界でも導入される事例がしばしば見られた年となりました。労働集約的な側面がある建設業界においてVRがどのような場面で扱われ、どんなことを解決していくのかまとめてみました。
 
 

そもそもVRとは??ARとの違い

 VRとは「Virtual Reality」の略で、日本語では「仮想現実」と訳されます。仮想的な世界をコンピューターが作り、主に頭にヘッドマウントディスプレイを装着して、仮想世界を現実世界のように体験する技術です。一方ARとは「Augmented Reality」の略で、「拡張現実」と訳されます。こちらは人間が認識する情報に、デジタルに情報を付加する技術です。VRとARは非常に似通った側面も多いのですが、拡張現実も仮想現実の一部として捉えられることが多いです。
 
 

図面内を歩行可能!?VRを用いた近未来の家づくり

 建築設計事務所のフリーダムアーキテクツデザイン(株)では2017年2月より、設計の初期段階の家をヘッドマウントディスプレイを装着して、VRで自由に歩くことができる「VRアーキテクツシステム」の提供を開始しました。こちらは設計の初期段階から住宅の完成イメージや外観、内部空間までを、3次元の立体モデル化することで、パースなどの平面図ではわかりづらい奥行や天井高、家具を実際にレイアウトした印象などを具体的に体験することができます。家は一生に一度の買い物なので、図面で見ていたときと出来上がった時と印象が違うということは避けたいですよね。VRによって、設計時と竣工後のギャップを埋めることができるのは、カスタマーにも建設会社・設計会社いずれにとっても大きなメリットを生むはずです。

 

VRで工事の迅速性と安全性が向上!遠隔重機操作システム

 ゼネコン大手の大成建設(株)は重機に設置する魚眼カメラのヘッドマウントディスプレイに表示することで、重機の遠隔操作を実現する臨場型映像システム「T-iROBO Remote Viewer」の開発を2017年2月に発表しました。この新システムはこれまでの遠隔操作システムがは複数カメラと複数モニターを用いていたため作業効率の低かったのに対し、左右の魚眼カメラとヘッドマウントディスプレイだけで約220度の臨場感ある広角映像の取得を実現しました。そもそも遠隔操作が求められる理由としては、福島原発事故のような高放射線下での復旧工事や、二次災害の危険を伴う自然災害対応など、安全性の問題で現場で作業できないような状況があるためです。VRを用いた遠隔操作が広がることで、より早い災害復旧や安全な建築・土木工事の実現に繋がっていくでしょう。
建設業遠隔操作システム_大成建設

※出典「大成建設(株)プレスリリース」

 

現場の職人をVRがサポート!広がる安全教育

 実際の作業支援だけでなく、事前の対策としてもVRの活用は広がっています。東急建設(株)は(株)バンダイナムコスタジオの技術支援のもと、2017年8月に「体験型安全衛生教育システム」の開発を発表しました。このシステムにより、VR空間内で様々な災害事故の発生過程を疑似体験することができます。災害事故は事前に想定していても体験してみないとわからない側面が強いです。VR上で疑似体験をすることで、災害発生時の対応に加え、災害を引きおこす原因まで学習することが可能になります。また特徴的なのはヘッドマウントディスプレイと手足にコントローラーを装着してVR空間の建設現場を体験するとともに、ゲームコンテンツを生かしたストーリー展開を体験に盛り込んでいることです。。個人的には避難訓練などは惰性で行われているようなケースも多い気がしていますが、VRでゲーム的要素を含んだリアルに近い体験をすることがより自分ごととして災害や事故を捉えられるのではないかと感じています。

VRでの足場作業シュミレーション

※出典「東急建設(株)プレスリリース」

 
 また(株)積木製作は建設現場などで使用できる「安全体感VRトレーニング」の販売を2017年4月に開始しました。」こちらも実際の現場での事故をVRで体験できるサービスですが、具体的な事故のコンテンツを提供しているのが特徴です。第一弾では建設現場における仮説足場からの墜落、第二弾では列車の車両基地内における列車との接触など、具体的なコンテンツを配信しています。いずれも実際に起きている事故であり、事前に体感しておいて、行動に生かしていくことで現場での事故率の低下に繋がっていくことを狙っています。

 
いかがでしたでしょうか?VR元年と呼ばれた2016年から1年で、建設業界でも着々とVRの活用は進んでいます。VRはAIやドローンなどの他の最先端技術と合わせて、これからも建設業の効率化とリスク低下に繋がっていくでしょう!今後も建設業でのVR活用から目が離せません!

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