建設業を営む際の注意点をチェック!建設業法とはどんな法律?

 建設業は、人々の生活に密接している産業であり、人々の生活の基盤や拠点を造り上げるという大きな役割を担っています。建設業は非常にやりがいのある産業ですが、業務の特性上、様々な「危険」が内在しています。そのため、安全かつ適正な建設工事が行われるよう細心の注意を払う必要があります。建設業を営もうとする場合、どのような点に注意する必要があるのでしょうか?今回は建設業における様々な規定を置いている建設業法についてご説明します。
 
 

建設業法の目的

 建設業法は、建設業を営む者の「資質の向上」「建設工事の請負契約の適正化」等を図ることによって「建設工事の適正な施工を確保」し、発注者や下請の建設業者を「保護」することを目的としています。
更に、これらの目的を達成すると共に、建設業の「健全な発達を促進」し「公共の福祉の増進に寄与」することもその目的としています。建設業は人々の生活にとって欠かすことのできない大切な産業です。それ故に「建設工事の適正な施工を確保」することができなければ、時として人命に関わる大きなリスクを生み出すこととなってしまいます。したがって建設業法において、建設業者は「資質の向上」や「建設工事の適正な施工の確保」といった高度の技術上の基準を満たしている必要がある旨を定めています。また建設業法においては顧客等の発注者のみならず、下請の建設業者についても元請の建設業者から不当又は違法な建設工事を請け負わされてしまうことがないように同法による保護の対象としています。
 
 

建設業法の規定・禁止事項等について

 建設業法における規定や禁止事項にはどのようなものがあるのでしょうか?建設業法は発注者や下請の建設業者を保護するために、建設工事の請負契約についての細かい規定を置いています。
こうした規定を置くことにより、建設工事の「請負契約の適正化」を図り、「建設工事の請負契約における目的物の引渡し」や「建設業者に対する請負代金の支払い」といった建設工事の請負契約における義務が正しく履行されるようにしています。
建設工事の請負契約に関する紛争が発生した場合、「あっせん・調停・仲裁」といった手段により紛争の迅速な解決を図るために国土交通省及び各都道府県に「建設工事紛争審査会」という機関が設置されています。また、建設業法においては一定の要件に該当する建設工事について、特定建設業許可を受けていない建設業者が下請の建設業者に発注することを禁止しています。これは、特定建設業許可の要件を満たしていなければ、一定の要件に該当する建設工事について下請の建設業者に対して適切な指導・監督をすることができないためです。その他にも建設業法は建設業者に対して、建設工事の適正な施工技術を確保するために工事の現場に技術者を配置することを求めています。
 
 

建設業法に基づく許可制度について

 建設業法は「請負代金が500万円以上の建築一式工事以外の工事」又は「請負代金が1500万円以上の建築一式工事又は延面積が150㎡以上の木造住宅の工事」を行う建設業者に対して一般建設業許可を取得する必要がある旨を定めています。
建設業において許可を取得するためには主に「専任技術者」及び「経営業務の管理責任者」の設置、財産的基礎を有していること、誠実性があり欠格要件に該当していないこと、といった要件が求められます。建設業の許可は工事を行おうとする「業種」ごとに取得する必要があります。また、下請の建設業者に対して請負代金が4000万円以上の建設工事(6000万円以上の建築工事)を発注しようとする場合には「特定建設業許可」が必要となります。
 
 

建設業法に違反した場合の罰則・処分

 建設業法の規定に違反してしまった場合、建設業者はどのような罰則や処分を受けることとなるのでしょうか?建設業者に対する行政処分としては「指示・営業停止・許可の取消し」といったものがあります。
いきなり営業停止や許可の取消しが行われるというわけではありません。違反があった場合には原則として、まず行政庁からの指示処分があり、それに従わなかった場合に営業停止処分、それにも従わなかった場合に許可の取消し、というような仕組みとなっています。
ただし、違反の内容によってはいきなり営業停止や許可の取消しといった処分を受ける場合もあります。また、最も重いもので3年以下の懲役又は300万円以下の罰金が科される場合もあるため、注意が必要です。
 

 建設業法は、建設工事の適正な施工技術を確保することや、建設工事の「請負契約の適正化」によって発注者・下請の建設業者を保護することを通じて建設業の「健全な発達を促進」し「公共の福祉の増進に寄与」することをその目的としています。
また、一定の要件に該当する建設工事を行おうとする場合、建設業法に基づく許可が必要となります。建設業法に違反した場合には、行政処分や懲役刑・罰金刑を科されてしまうこともあり、建設業に対して法令遵守の徹底が求められています。


ライタープロフィール
ペンネーム 紅裂(すざく)

現役行政書士・フリーライター。
行政書士として建設業法・農地法関連の許認可業務や契約書作成・相続等の民事法務を主に取り扱う。
行政書士としての知識や経験を活かし、フリーライターとして法律や各種の行政手続きに関する記事を主に執筆

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