一級建築士よりも難しい?建築設備士の資格を解説!

 建設業界において、最も有名で難関だと言われる国家資格が一級建築士ですが、その一級建築士よりも難しいと言われることがあるのが、建築設備士の資格です。
建築設備士の資格取得者は、建築設備のスペシャリストとしてプロジェクトに携わることになります。建築設備とは、建築物の衛生設備や電気設備、空調設備のことで、建築物にはなくてはならないものです。
この記事では、そんな建築設備士の資格の概要や、資格を取得することで得られるメリット、なぜ一級建築士よりも難しいと言われるのか?を解説します。
 
 

建築設備士とは?

 建築設備士とは、建築物の設備に関する専門的な知識と技術を持ち、建築設備の設計や、助言を行うことができる国家資格です。
建築設備士の資格を取得するためには、一定の学歴や実務経験が必要になります。
具体的には、以下のようになっています。

  • 一級建築士、一級電気工事施工管理技士、一級管工事施工管理技士、電気設備主任者の資格取得者→実務経験2年
  • 空気調和・衛生工学会設備士の資格取得者→実務経験2年
  • 四年制大学指定学校指定科目卒業者→実務経験2年
  • 短期大学、高等専門学校、旧専門学校指定科目卒業者→実務経験4
  • 高等学校・旧中学校指定科目卒業者→実務経験6年
  • 学歴、取得資格なしの場合→実務経験9年以上

責任の大きな仕事に携わる分、指定される学歴や実務経験も厳しいものになっています。
 
 

建築設備士試験はなぜ一級建築士よりも難しいと言われるのか?

 建築設備士の試験は、一次試験と二次試験に分けられています。
一次試験は筆記試験方式で、建築に関する知識を満遍なく出題されます。
この一次試験の合格率が30%程とされており、一次試験合格者のみが受けられる二次試験は、建築設備に関する製図試験となっています。
二次試験の合格率は50%程で、最終合格率は約15%であり、一級建築士の合格率は12%程度ですので、比較すると高い水準ではありますが建築設備士は一級建築士よりも難しい資格だと言われることがあります。
その一番の理由は、マイナーであることです。一級建築士の資格は華やかで、知名度が高く、取得しなければできない仕事も多いので、資格を取ることで様々なメリットが得られることが簡単に予想できます。
しかし、建築設備士の資格は難易度が高いながらも業界以外での知名度は低く、資格に法的強制力がないため、実際のところ資格が無くても仕事ができてしまう部分が多いのが現状です。
建築設備士の資格を持つことで、建設業界での信頼度や転職の有利さは格段にアップしますが、それにしても資格取得のメリットが低いことから、モチベーションを維持しながら勉強を続けることが難しく、このことが一級建築士に比べて難しいと言われる理由になっています。
 
 

建築設備士の仕事内容とメリットは?

 建築設備士の仕事は、建築設備の設計や工事監理の助言、工事に対する助言を行うことで、助言を受けた建築士は、建築確認申請書等の書類にその旨を記載します。
建築設備士の資格を取得することで行える仕事は、このアドバイザーとしての業務ですが、建築設備士の資格を持っているということは、建築設備について専門的な知識と技術の証明になります。
そのため、アドバイザー業務以外にも建築設備士としての専門的な知識を活かして、建築物の電気設備のシステム設計や、給排水の設備設計、空気調和設備の設計や工事監理、建築設備全般の保全等を業務として行うことができます。
しかし実際には、建築設備士がいなくても建築の設備設計は充分可能で、建築設備士の助言には強制力や法的な規制は一切ありませんので、一見需要がない資格に思われてしまうのが建築設備士の現状です。
それでも、近年複雑化している建築設備をより安全に取り入れることや、建築工事の安全意識への注目が高くなってきたこと、建築設備士が携わった建物は質の高い建物と見なされることから、業界における建築設備士の需要は年々高まっています。
建築士の資格と併用して取得することで、より技術と知識に磨きがかかり、今後重宝される人材となることは間違いありません。
資格の取得を目指してみては如何でしょうか。
 
 
(参考)
 公益財団法人 建築技術教育普及センター 建築設備士
  http://www.jaeic.or.jp/shiken/bmee/


ライタープロフィール
ペンネーム 佐藤 ゆうか
 
建築業界経験と建築士資格を持ち、現在は子育てに勤しむ
個人で生活育児に関するブログも運営している在宅ママさん

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