建築士の豆知識!高層マンションに10階建てと14階建てが多い理由とは?

 一級建築士の豆知識。街中にあるマンションは、高層だと何故か10階建てと14階建てが多く、逆に11階建てと15階建てマンションは極端に少ないです。実は、それには明確な理由があります。今回はその高層マンションの階数について、詳しく解説したいと思います。
 
 

高層マンションに10階建てが多い理由は「100尺」と「消防車」?

 街中にある高層マンションは、同じ高さのものがとても多いと感じませんか?特に大通りに面した高層マンションは、何故か「10階建て」ばかりです。もちろん「道路斜線」などの高さ制限もありますが、それ以上にマンションの階数には明確な理由があります。
 
その理由は「100尺」と「消防車」。まずは「100尺」ですが、1尺は約30.3cmで100尺だと約30.3mになります。建物を計画する際に遵守しなければならない「建築基準法」では、この100尺に基づいた「31m」という高さ制限が数多くあり、これを超えると様々な厳しい規制がかかってしまうのです。厳しい規制がかかると、それに対応するため建築計画も制限されるばかりか、31m以下なら必要がない特殊な設備も必要になってしまい、建設コストが上昇してしまいます。
結果、建物の多くが31mぎりぎりの高さで計画され、街中に同じ高さの建物が並ぶということになります。また、マンションだと1階あたりの階高がおおよそ「3m」なので、31mの制限だと「10階建て」になるわけです。
 
 
 また建物の高さが31mで制限されるのは、「消防車の仕様」という理由もあります。これは建築基準法制定時に、はしご車や消防ポンプ車の活動可能範囲がおおむね100尺だったということで、消防活動を考慮してこの高さになったということです。現に、31mを超える建物は建築基準法だけではなく、消防法でも制限が厳しくなります。
このように、高層マンションに10階建てが多い理由は、「100尺」ならぬ「31m」という法的規制があるからだったのです。ちなみにマンション以外のビルでも同様の高さ制限が適用されますが、オフィスの場合は1階あたりの階高がおおよそ「4m」なので、7階建てが多くなります。
商業地域のように、敷地いっぱいに建物を計画する場合は、マンションなら10階建て、オフィスなら7階建てがおおよその上限と覚えておきましょう。
 
 

10階を超える高層マンションだと何故か「14階建て」が多い?

 高層マンションに10階建てが多い理由は、「31m」という規制があるからですが、もちろんそれ以上の規模のマンションも多いですよね。しかし街中の大規模マンションを見ると、10階建てを超えると何故か「14階建て」が多くなります。逆に「15階建て」は極端に少なくなります。ここにも明確な理由があります。
それは31mを超える部分が4階までなら、建築基準法の緩和規定が適用されるからです。つまり31mまでならマンションだと「10階建て」が上限したが、この緩和規定を利用すれば、4階を追加した「14階建て」が上限になります。その緩和規定とは、「建築基準法施行令第129条の13の2」に明文化されており、次のように規定されています。
 
(非常用の昇降機の設置を要しない建築物)
高さ三十一メートルを超える部分の階数が四以下の主要構造部を耐火構造とした建築物で、当該部分が床面積の合計百平方メートル以内ごとに耐火構造で区画されているもの。

 
解説すると、31mを超える部分の階数が4以下で、かつ100m2ごとに住戸を分けていれば、14階建てマンションでも、非常用エレベーターを設置しなくていいということになります。この「非常用エレベーター」とは、消防活動にも利用できるもので、通常のエレベーターよりも様々な面でコストがかかります。建築計画でも様々な制約を受けるので、高層マンションでは可能な限り設置しない方向で計画します。
結果、高層マンションではこの緩和規定を活用した14階建てが多くなり、15階建てが極端に少ないということになります。ちなみにオフィスでも同じ緩和規定が適用可能ですが、オフィスの場合は100m2毎に部屋を区切るのが難しく、この緩和規定はあまり利用されません。逆にホテルだと、100m2を超える客室は滅多にありませんので、マンション同様に14階建て相当の規模まで計画可能です。
高層マンションで10階建てを超える規模を計画する場合、上限はおおよそ「14階建て」と覚えておきましょう。ホテルの場合は、マンションより階高を低く設定でき、31mでも11階建ても可能ですので、上限はおおよそ「15階建て」と覚えておきましょう。
 
 
 建物高さは自治体が独自に「街並み条例」で定めているところもありますが、ほとんどが建築基準法による制限で決まります。高層マンションなら10階建てと14階建てが多い理由、ご理解頂けましたか?
逆に建築士からすると、高層マンションで11階建てや15階建ての計画を見ると「何故?」って思ってしまうほどです。もちろん様々な事情があっての計画だとは思いますが、高層マンションなら、規模の上限は基本的に「10階建て」ないし「14階建て」と覚えておきましょう。


ライタープロフィール
ペンネーム MISAKI
 
一級建築士。建築設計事務所に8年在籍、マンションから再開発まで様々な建築の意匠設計を手がける。
マンションリフォームマネージャーなる資格も有し、リフォームやリノベーションにも精通。
現在はIT系ビジネスに従事し、ネットを駆使して建築や不動産をはじめとする様々な情報を配信。

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