建設現場で働く女性も多くなってきました。しかしながら、女性が働きやすい環境づくりにおいては、まだまだ整備されていないのが実情です。このような環境の中、建設機械メーカー、レンタルの「コマツ」では建設現場での仮設トイレを女性向けにするという取り組みで2015年に「日本トイレ大賞」を受賞しました。さらに進化を続ける女性向け仮設トイレを詳しくみていきましょう。
日本トイレ大賞とは?
日本トイレ大賞とは、「内閣官房すべての女性が輝く社会づくり推進室」が主催となったもので、全ての女性が暮らしやすい空間へと転換する象徴とされる「トイレ」に関連する取り組みが対象とされました。コマツは、建設現場での女性用仮設トイレの取り組みにおいて、大変優れた事例ということで大賞を受賞しました。
なぜ女性用仮設トイレだったのか?
慢性的な労働力不足が懸念される建設業界では、女性の現場での労働力が必要となっています。しかしながら、建設現場で働く女性の大きな悩みのひとつが「トイレ」であることに注目し、トイレメーカーと共同で試行錯誤をしながら進め、「都市型」「簡易型」の2種類の女性用仮設トイレを開発しました。毎日現場で使う女性にとって、清潔感と安心感のある空間とすることで、女性の建設現場進出の後押し効果も期待できます。
建設業向け「都市型」女性用仮設トイレの仕様は?
都市型タイプの仮設トイレは、上下水道と電気を利用して、水で流せる上、洗浄機能便座も備えるなど、家庭や公共施設の一般的なトイレと同等の機能を備えていることが大きな特徴となっています。便器の形状や内部空間の雰囲気などは、普段使うトイレそのものとなっており、建設現場でありながらも快適な使い勝手が期待できるのは間違いないでしょう。寒い季節には有り難い暖房便座になっていることも、快適さが増す仕様のひとつです。
建設業向け「簡易型」女性用仮設トイレの仕様は?
簡易型タイプの仮設トイレは、ポンプ式の簡易水洗のために、上下水道接続が不可能な現場にも設置することができ、使う場所が限定されません。電源がない場合は暖房機能は付加されませんが、都市型と比べ安価での導入が可能な点も特徴となっています。簡易型タイプも洋式での使い勝手は変わらず、一般的な仮設トイレの空間と比較すると、かなりゆとりがある設計になっています。
仮設トイレで着替えも出来る?
「都市型」「簡易型」両タイプに共通する機能としては、2重ロック、着替えの出来るフィッテングボード、洗面台、便座除菌クリーナー、2連ペーパーホルダー、擬音装置、暖房便座(電気必要)などを備えています。
特に注目したい機能は、2重ロックとフィッテイングボードです。いままでの仮設トイレは、仮設というものであるため女性にとっては施錠に不安があるという意見が多くありました。実際の現場では、男性が仮設トイレを使用する場合、扉を開けたままということもあるため、施錠は重要視されてこなかったのではないかと想定されます。
しかし、このような現状は女性にとっては快適な使い勝手ではないとの観点から、安心感のある2重ロック機能とされました。
また、着替えの可能なフィッテイングボードも大変画期的な機能です。夏場は女性、男性に関係なく汗ばんだ作業着を着替えたいと思うことも多くあるでしょう。このような場合でも、2重ロックがあり、少しゆとりのある空間で着替えることが可能な点は、建設業に関わる女性の労働者にとって有り難い機能です。
開発の段階から、たくさんの女性の意見を聞きながら女性の快適さにこだわった女性専用仮設トイレは、普通では気が付かない細やかな部分もカバーされた本格的なトイレと言えるでしょう。
建設業界に関わる女性の労働者がますます増加するなか、このような女性の働きやすい取り組みも検討してみてはいかがでしょうか。
(参考)
株式会社 小松製作所 https://home.komatsu/jp/
ライタープロフィール GOKURA
住まいのプロ。注文住宅業界に15年以上従事。
現在は在宅で、家づくりのサポート業務・営業企画を行う傍、ライターとしても活動。
注文住宅に関する管理業務を一気通貫して経験しており、リフォーム、不動産関係を得意とする。
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