新国立競技場の建設費 ―2520億円でできること―

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 最近話題になっていた新国立競技場の建設についての問題が17日の安倍首相の会見によって一度計画を白紙に戻すことで一区切りついたように思われます。さて最も話題になっていた新国立競技場の工費は2520億円だったそうです。グラウンド設備に1570億円、キールアーチを特徴とする屋根部分に950億円かかると試算されたのですが、2520億円あれば何ができたのでしょうか。

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 まずは2520億円で月の土地を買ってみましょう。調べてみると月の土地は1エーカー当り2700円で買うことができます。1エーカーは約1200坪で大体サッカーグラウンド一つ分ほどの大きさです。それを2520億円分。計算してみると約37万平方キロメートルほどの月の土地を買うことができます。日本の領土が約38万平方キロメートルなので、月にもう一つ日本を作ることができます。

 宇宙といえば2006年にNASAが打ち上げた無人探査機の「ニュー・ホライズンズ」が今月14日に9年の歳月をかけてとうとう冥王星に最接近し、数々の写真を撮影することに成功しました。この超巨大なプロジェクトの打ち上げにかかった費用は約7億ドル(現在のレートで約870億円)。だいたい3回冥王星を見に行けますね。

 話を地球に戻しましょう。Sporting intelligenceが公開した2015年版の「GLOBAL SPORTS SALARIES SURVEY 2015」(世界のスポーツの給与統計)を見てみると、世界の様々なスポーツチームの平均年棒を調査して統計を取り、ランキングもしています。平均年俸のランキングを見てみると、皆さんもなじみが深いと思われますスペインのサッカークラブチームのレアルマドリードが2位にランクインしています。レアルマドリードの1年間の年俸総額を計算してみると、約270億円でした。現所属選手の全員と9年間契約を結ぶことができます。そういえばレアルマドリードは銀河系最強軍団なんて呼ばれていましたね。

野球 スタジアム

 いろいろな建築物の工費を調べてみると、新国立競技場の試算額と近い費用で建設されたものには六本木ヒルズがありました。六本木ヒルズは約2700億円で建設されました。六本木ヒルズの高級住居棟にすむ人々は「ヒルズ族」と呼ばれたりしましたね。また、少し高額となりますが東京ディズニーシーは約3350億円で建設されました。あれだけの世界観を作るとなるとこれほど高額なのも分かる気がします。

 さて、他の競技場はどのくらいの工費で建設されたのでしょうか。過去のオリンピックのメイン競技場の総工費を調べてみると、2000年のシドニーオリンピックのメイン競技場の建設費は約640億円、アテネオリンピックは1982年に建設されたものの改修費ですが約360億円、北京オリンピックでは約530億円、ロンドンオリンピックでは約970億円となっていました。一番高いロンドンオリンピックでも日本の新国立競技場の半額以下で建設されています。過去のオリンピックのメインスタジアムと比べるととても高い額となっています。

 高額の建設費で有名な競技場といえば、松井秀喜氏が所属していたこともあるニューヨークヤンキースの本拠地であるヤンキースタジアムです。2009年に完成したこのスタジアムは約1860億円をかけて建設されました。また、世界で最も高額な競技場はNFLのニューヨーク・ジャイアンツとニューヨーク・ジェッツが本拠地とする、メットライフスタジアムです。それでも現在のレートで約1985億円と、新国立競技場の2520億円には届かないんですね。日本の新たなランドマークとなりうる新国立競技場ですから高額をだしてでもよいものを建設してほしいという見方もありますが、妥協を重ね、批判が多くなされる中で建設された不名誉なものにはなってほしくないですね。

 これから半年かけて新たなコンペを行い来年の1~2月あたりから建設を開始する予定です。2019年に開催されるラグビーワールドカップには完成が間に合わないそうですが翌年のオリンピックまでには完成させる見込みがあると安倍首相が述べていました。コスト面でもデザイン面でも、多くの国民が納得できる競技場にしてほしいと思います。

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