人材紹介業からスタートし、電気通信工事業へ展開したという東京都渋谷区の株式会社ユニポテンシャル。その背景と将来展望を、代表の蛎田一博さんに語っていただきました。
若手30人を未経験から育成
−−まず、おもな事業内容から教えてください。
建設業としては電気通信工事業ですが、もともとは2015年に人材紹介業からスタートした会社です。この2つが、当社の事業の軸となっています。
電気通信工事業界は、慢性的に若い人材が不足しています。一方、当社は人材紹介会社としておもに20代の転職支援を手がけてきましたから、若い人たちに仕事の魅力を伝え採用していくためのノウハウがあります。
そうした背景から、新規事業として3年前に電気通信工事業を始めたというのが今日までの流れです。
−−どのように自社の採用は進められるのですか?
たとえば私のツイッターを見て興味を持ってくれた人とか社員の紹介で来た人、転職相談に来たけれども経験不足などであまり紹介先がないといった人たちにこの仕事を提案し、採用しているというのが実態です。
−−蛎田さんご自身はどういうご経歴なのですか。
私は新卒でまず証券会社に入社し、次に大手人材会社での営業経験を経てこの会社を設立しました。そして何か新しい事業をやろうと模索している中で電気通信工事業界の人材不足の実情を知り、その解決へのチャレンジに意義を感じて自ら事業化したんです。
私自身は電気通信工事の経験はまったくなく、素人。社員もほぼ全員、未経験で採用しています。
−−電気通信工事とはどんな工事なのですか。
まず、携帯電話の基地局設置工事などの監理業務です。作業自体は技術力が必要なので職人さんが行うのですが、施工監理であればある程度経験を積めば対応できます。
もう一つは、住宅の光回線やWi-Fi設備の工事です。こちらももちろん職人さんの仕事なのですが、未経験からでも2、3カ月研修すればこなせるようになれるんです。そういった工事をメインにやっています。」
まずは社員の育成を優先
−−設立から6年。どんな変化がありましたか。
人が増えてきて、電気通信工事業の方もほぼ20代の若手ばかり30人体制になりました。人数だけでなく、徐々に技術力のある社員が育ってきているという実感がありますね。
−−資格取得も奨励されているのですね。
資格取得の支援もしていますし、資格手当の制度も他社以上に充実させていきたいと思っています。みんな未経験で入ってきているので、単に現場で技術を身につけるだけでなく、資格もあった方が本人のためにもなりますしね。
−−お取引先はどういう業態が多いのですか。
通信工事業界の大手企業さんがほとんどですね。直接いただく仕事もありますが、二次請会社さんを紹介していただき、そちらに当社の社員を行かせて仕事をしながら学ばせていただいているケースも多々あります。
−−お取り引きする判断基準は何でしょうか。
まだまだ経験の浅い社員が多いので、今は単価よりもそういう若手を受け入れて育ててやろうという会社さんがありがたいですね。技術力は高いけれども人手が足りないという業者さんは多いはずなので、そういう会社さんとお付き合いさせていただきたいと思います。
また当社は工事案件を結構抱えているので協力業者さんも求めているのですが、こちらは一人親方や少人数の業者さんと直接契約させていただければそれなりに単価も出せますし、お互いにメリットのあるお付き合いができると思います。
自社のノウハウを横展開
−−お仕事上のこだわりや理念などはおありですか。
「ちゃんとやるをちゃんとやる」というのが当社の経営理念です。当たり前のことを当たり前にやるということですが、意外とできませんよね。これ以外に理念やビジョンはありません。いちばん難しいことだと思っているので。
−−お仕事のやりがいを感じられるのはどんなところですか。
電気通信工事に関して言えば、世の中に必要なことをやっているという実感がありますね。社会とかお客様から必要とされて工事をやって、その結果そのエリアでスマートフォンがさくさく使えるようになるとか、そのお宅でネットの動画配信がすごくスムーズになるとか。
そういう社会的意義を実感しやすいことが若い人の採用の動機付けにもなるのですが、業界全体的にちゃんと伝えられていないのかなと思います。
−−貴社の一番の魅力は何だと思われますか。
当社は、技術力のあるベテランの管理職がいないんです。ですからそういう人たちにとっては、ポジションが多くチャンスの大きい会社だと思います。
また若い求職者にとっては、ベテランばかりの会社に入るのは少々腰が引けますよね。その点、当社は全員未経験でスタートした若手ばかりなので、不安感は少ないのではないでしょうか。
一方、仕事を求める業者さんにとっては、先にお話したように当社は常に案件を抱えていますので、取引先としてメリットがあるのではないかと思います。
−−今後の課題や目標を教えてください。
会社を大きくすることで高齢化の進む業界の未来を少しでも担いたいと思いますし、もう一歩踏み込んで当社のノウハウをベースに採用支援を展開していきたいと考えています。
当社が3年間でやったことを、たとえば社員5名のすごく技術力が高い会社さんがやられたら、若くてすごくハイレベルな技術者集団ができますよね。そういう取り組みを通じて電気通信工事業界をもっと底上げしていくことが、私の中長期的な目標です。
さいごに
「技術力はまだまだ」と言いつつ、社員の成長に手応えを感じられている蛎田さん。5年先10年先の、電気通信工事業界の一翼を担っていこうという気概が伝わってくるお話でした。
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