建設業界から排出される廃棄物が増大し続けている中で、分別解体、再資源化などが義務付けられた「建設リサイクル法」が制定されてから15年以上が経過しました。初期の頃は慣れない分別方法などに戸惑いもありましたが、現在ではかなり広く浸透している傾向がうかがえます。行政では、更なる建設リサイクル法の尊守、徹底のために毎年、都道府県や労働基準監督署などと合同で現場パトロールを実施していますが、直近の2017年10月~11月頃実施されたパトロールでは、いったいどのような結果となったのでしょうか。
建設リサイクル法の概要とは?
建設リサイクル法とは、特定の建設資材(コンクリート、コンクリート及び鉄から成る建設資材、アスファルト、コンクリート、木材)について、分別解体、再資源化等することを義務付けし、再資源化を確保するため、また、再資源化及び再生資材の利用促進することなどを目的としています。
上で述べた特定建設資材を用いた建築物等に係る解体工事やその特定建設資材を使用する新築工事等であって一定規模以上の建設工事について、その受注者等が、分別解体等及び再資源化等の義務を負うこととしています。
建設工事の規模の基準については、解体工事では床面積80平米以上、新築又は増改築の工事では床面積500平米以上、修繕、模様替え等の工事では請負代金が1億円以上、建築物以外の工作物の解体工事又は新築工事では請負代金が500万円以上とされています。
建設リサイクル法に係る一斉パトロールとは?
建設リサイクル法に係る一斉パトロールとは、行政が行う現場立ち入り調査であり、建設現場での建設リサイクル法の尊守を徹底するために毎年行われています。調査は、都道府県の建設リサイクル法担当部局員、環境部局員、労働基準監督署員が合同で現場パトロールをします。
それぞれの行政担当者は、その分野での観点で現場確認を行うこととされ、例えば、建設リサイクル法担当部局員は、建設リサイクル法の尊守確認、周知徹底について調査を行い、環境部局員は、廃棄物処理法、大気汚染防止法及びフロン排出抑制法の尊守確認、周知徹底について、労働基準監督署員は、労働安全衛生法、石綿障害予防規則の尊守確認、周知徹底など、それぞれの得意分野で実施します。
2017年の一斉パトロールの結果は?
直近である2017年に実施された一斉パトロールはどのような結果となったのでしょうか。
2017年度は現場総数5,849件(建築物の解体工事4,348件、建築物の新築工事444件、土木工事1,000件、その他修繕等57件)を対象に実施されました。その結果、「指導等」を行ったものに関しては360件にのぼり、その内訳は、標識の掲示322件、分別解体17件、無届工事11件、事前措置1件、その他9件という結果となっています。
全体の調査総数から見た、指導を受けた件数の比率は約6%となっており、もっとも多かった指導は「標識の掲示」となりました。この標識の掲示は、建設リサイクル法第33条等に規定されているもので、営業所及び解体工事現場ごとに掲示が義務付けされています。この掲示が適切に行われていない現場が多かったようです。
今回の立ち入り調査は、事前に実施の時期が発表され明らかになっていました。そのため、あらかじめ準備できていた現場も多かったかもしれません。多くの人が係る建設現場では、決まり事を徹底させることは本当に簡単ではありません。そのため、ひとりひとりの個々の意識がとても大切になってきます。建設リサイクル法は、将来的な環境保全も考えたものです。未来の暮らしのために、決まり事を守りしっかりと対処していきたいですね。
(参考)
環境省
http://www.env.go.jp/
国土交通省
http://www.mlit.go.jp/
ライタープロフィール
ペンネーム GOKURA
住まいのプロ。注文住宅業界に15年以上従事。
現在は在宅で、家づくりのサポート業務・営業企画を行う傍、ライターとしても活動。
注文住宅に関する管理業務を一気通貫して経験しており、リフォーム、不動産関係を得意とする。
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