建築物省エネ法の概要と基準を確認しよう

 2017年4月より「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」(建築物省エネ法)が施行されています。一定の規模を持つ建築物の新築や増改築の際、省エネ基準への適合義務や計画の届出義務が必要となるものです。なんとなく耳にしてはいても詳しく理解できていないことも多いのではないでしょうか。ここでは、この建築省エネ法の概要や取り組みについて確認していきましょう。
 
 

建築物省エネ法とは?

 建築物省エネ法とは、建築物の省エネ性能の向上を図るために、大規模な非住宅建築物の省エネ基準適合義務の「規制措置」をすること、省エネ基準に適合していることを表示し誘導基準に適合した建築物の容積率特例の「誘導措置」を講じたものとされています。
 
建築物省エネルギー法は、東日本大震災以降の国内エネルギー需給がより一層逼迫したことが背景にあるようです。エネルギーが不足する中で、建築物部門においてはエネルギー消費量は増加の一途を辿っていました。このようなことから早急な省エネ対策が必須となったのです。
 
建築物省エネ法には、建築物の基準が設けられています。「規制措置」場合は、一定の規模を持つ建築物が対象となっており、非住宅であれば2000平米以上の新築・増改築で、住宅も含めた建築物であれば300平米以上の新築・増改築とされています。また、「誘導措置」については規模の制限はなく、全ての建築物が対象となります。
 
 

具体的な建築物省エネ法の基準は?

 具体的にはどのような省エネ基準があるものか、ポイントを確認してみましょう。まず、住宅用途に係る基準は2つあり、「住宅の窓や外壁などの外皮性能を評価する基準」と「設備機器等の一次エネルギー消費量を評価する基準」が設けられています。「住宅の外皮性能」とは、窓や壁内の高断熱性能を表しており、「設備機器のエネルギー消費量」とは、高効率な冷暖房機器や換気システムなどを表しています。非住宅用途に係る基準も住宅と同じ基準となっていますが、外皮性能基準はより複雑な計算方式が用いられているようです。

ここ数年の設備機器の省エネルギー化は、非常に進んでいます。例えば、新築住宅であれば、エアコン1台のみで全館の冷暖房を実現するなどユーザーのイニシャルコスト削減に繋がる製品も出てきています。また、住宅メーカーとしての窓や断熱性能に対してより積極的な仕様を打ち出しているところも多くなっています。建物性能のスタンダードが全体的に押し上げられた印象を持っています。
 
 

建築物省エネ法の関わり方について説明会も開催されている

 省エネ基準への適合方法など、その関わり方をしっかりと理解してもらうために、国は説明会を開いています。建築主や設計者、施工者など建築物を作る側に向けて行うものと、設備メーカーなど適合性製品を作る側などのふたつの説明会となっており、全国の主要都市で実施されています。このような取り組みを利用してみても良いでしょう。
 
 建物を省エネルギー化させるという考えが出てくる前は、どちらかと言うと、空間の快適さを高めることを優先し、そのために必要となるエネルギーはある意味後回しになっていた傾向があります。他社との競合のために、過剰な設備や過剰な性能を追求していた部分もあったかもしれません。しかし、住宅業界においても過度なエネルギーを消費する仕様を歓迎する雰囲気はありません。いかに少ないエネルギーで快適な空間づくりが提供できるか、このような流れに動いていることは間違いないと感じます。これからも更なる省エネルギーへの取り組みは続いて行くでしょう。
 
 
(参考)
 国土交通省
  http://www.mlit.go.jp/
 
 


ライタープロフィール
ペンネーム GOKURA
 
住まいのプロ。注文住宅業界に15年以上従事。
現在は在宅で、家づくりのサポート業務・営業企画を行う傍、ライターとしても活動。
注文住宅に関する管理業務を一気通貫して経験しており、リフォーム、不動産関係を得意とする。

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