国産のスギやカラマツを使い、日本的な格子のデザインが特徴的な2020年東京五輪のメインスタジアムである「新国立競技場」。2016年12月に本体は着工し、完成予定は2019年の11月を予定しています。徐々にその外郭が見え始め、いよいよ2018年2月からは、デザインの特徴ともなっている「庇」部分の工事に着手します。実物大の模型も話題にのぼった、その完成イメージを見ていきましょう。
2020年東京五輪メインスタジアム(新国立競技場)の概要
2020年東京五輪のメインスタジアムとなる国立競技場は、約55年以上前に開催された1964年(昭和39)の東京五輪のメインスタジアムとして使われていたことはよく知られています。当時はアジアで初のオリンピック開催地として、国際的にも広くアピールし、高度経済成長と共に更なる発展のきっかけともなっていたようです。
この国立競技場は、現在は取り壊され、同じ場所に新たに「新国立競技場」が2020年東京五輪メインスタジアムとして建設が進められています。新国立競技場は敷地面積約11万3000平方メートル、建築面積約7万2400平方メートル、地上5階、地下2階建てで高さ約47.4メートルとなっています。この整備事業では、デザインや建設費など、都政を交えて様々な紆余曲折がありましたが、最終的には、建築家の隈研吾(くまけんご)さんのデザインが採用されることとなりました。隈研吾さんは、1964年の東京五輪で建築家の丹下健三さんが手がけた代々木体育館を見て建築家を志したそうです。ご自身が影響を受けた一大イベントに関わることになるということで、特別な想いもあったかもしれません。
新国立競技場の特徴とは?
新国立競技場のデザインにはどのような特徴があるでしょうか。近年の大型公共施設や商業施設は、どちらかというと「近代的、未来的デザイン」を多く採用している傾向がありますが、新国立競技場のデザインは日本の伝統的な建築を彷彿させる、優しくて繊細なモダンデザインに感じられます。
日本家屋に使われる、「木材」を重要なデザイン部分に用いており、外国人が見ても随所に「和」を感じることができるでしょう。中央のスタジアムの天井は「組子」をイメージさせるような、美しく組まれた構造体の木材があらわしになっているのも特徴のひとつです。また、大きく外側にせり出した「木の庇」も公共的な建築物としては個性的ですね。
庇の「実物大型模型」も登場?
新国立競技場は現在、ヤマ場とも言われている屋根工事が始まろうとしています。個性的なデザインでもある「木の庇」には、国産のスギやカラマツが使われる予定となっており、どのようなつくりになっているか、実物大の模型を製作して報道陣にも発表されました。
108のユニットで構成される屋根は、鉄骨と木材を組み合わせ、重さは約180トンとなっており、高所で分割されたユニットを合わせていくという繊細な作業が求められます。屋根の工事完成は2018年5月頃を予定していることのことで、輪郭が見られるまではあと数ヶ月です。
こちらの建設現場では、上空からの全体の仕上がりを安全に確認するため、ドローンを採用するなど、最新の機器も駆使しながら建設が進められています。
2019年11月末の完成を予定している新国立競技場ですが、完成までに延べ約200万人もの人々が工事に関わると言われています。作業員や管理者などたくさんの人の手が加わった新国立競技場と日本的なおもてなしも含めて、世界中の人々の記憶に残る2020年東京五輪を期待したいですね。
(参考)
独立行政法人日本スポーツ振興センター
https://www.jpnsport.go.jp/
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/
隈研吾建築都市設計事務所
http://kkaa.co.jp/
ライタープロフィール GOKURA
住まいのプロ。注文住宅業界に15年以上従事。
現在は在宅で、家づくりのサポート業務・営業企画を行う傍、ライターとしても活動。
注文住宅に関する管理業務を一気通貫して経験しており、リフォーム、不動産関係を得意とする。
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